気象・海象
気象・海象
気圧と気温
- 気圧とは,一定の面積の地表面にかかる空気の重さのこと。
- 気温の影響を受ける。
- 気温が下がると空気は重くなり,気圧は上がる。
- 気温が上がると空気は軽くなり,気圧が下がる。
- 一般的に気圧が上がると天気はよくなり,下がってくると天気は下ってくる。
- 気圧の単位は,ヘクトパスカルで,標準1気圧は1013ヘクトパスカル
- 気圧の観測にはアネロイド気圧計が主に用いられる。
- 気温の影響を受ける。
- 風
- 空気は気圧の高いところから低いところに向かって流れる。この空気の流れが風である。
- 気圧差が大きいほど流れは強く,差が小さければ緩やかとなる。
- 風向は,風の吹いてくる方向で示す。
- 風速は,1秒間に空気の流れる距離を表し,普通10分間の平均風速を使う。
- 風力は,気象庁風力階級に基づき,0~12段階まである。
- 海陸風
- 日中と夜間における陸と海の温度差が原因で生ずる風
- 昼間は海から陸へ(陸が気温が高く,海より気圧が低いため)
- 夜間は陸から海へ(陸が気温が低く,海より気圧が高いため)
- よく晴れた夏の日に海岸地方で吹くことが多い。
- 風力は弱く,風力階級で2~3程度である。
- 日中と夜間における陸と海の温度差が原因で生ずる風
- 雲
- その高さ,形状によって,上層雲,中層雲,下層雲などと呼ばれる。
- 雲量は,0~10まであり,1以下を快晴,2~8を晴れ,9以上をくもりという。
- 台風が来る前兆として,高い空一面に薄い雲が現れることが多い。
- 錦雲と呼ばれる真白い雲は,晴天の日に現れることが多い。
- 寒冷前線が近づいてくると,突風や雷を伴った入道雲と呼ばれる雲の現れることが多い(積乱雲)。
- 太陽や月の周りに輪が現れると,天気は下りである。
- 一番高いところの雲は,絹雲という。
- 波
- 波の観測は,方向,周期,波高の三つについて観測する。
- 波浪の方向はその進んでくる方向をコンパスによって観測する。
- 波浪はその波高によって,10階級に分ける。
- 寒冷前線通過時の突風は,三角波のような複雑な波を起こすことがある。
- 三角波とは,方向の違う波がぶつかり合って発生する波高が異常に高い波。
- 河口の港では,風向きにより港口に磯波の立つことがある。
- 陸岸近くでも,突然の気象変化で大波の発生することがある。
- 観天望気
- 天気予報や気象計器(天気図,気圧・温度・風速計など)とあわせて天気予想を併用すると的中率が高くなる。
- 狭い地域の天気を予想するのに役立ち,言い伝えではあるが,気象学的に十分根拠があり活用するのがよい。
- 突風の兆候(小型船は,十分気をつけなければならない。)
- 西の空に雷雲(積乱雲)が現れたらやがて突風がくる。
- 夜,西の空に稲光が見えたら高波を伴う突風がくる。
- 海上が静かなとき,西の水平線が凹凸に見えると間もなく突風がくる。
- 北西の季節風が吹いているとき,急に冷えてくると突風がくる。
- 冬期,異常に暖かいとき,風がやむと突風がくる。
高気圧
- 周囲より気圧が高いところ。
- 北半球では空気が右回り(時計回り)に四方へ吹き出し,下降気流を生じる。
- 高気圧圏内では,湿度は低く天気はよい。
- 中心に近づくほど気圧は高くなる。
- 温暖高気圧
- 小笠原高気圧又は太平洋高気圧とも言われ,日本の夏の気象を左右するもの。
- 寒冷高気圧・・・冬にシベリア方面やオホーツク海方面に発生する。
- シベリア高気圧
- 冬の日本の気象を左右する。
- 太平洋上に低気圧があると西高東低の冬型の気圧配置となる。
- 強い北西の季節風が吹き,日本海側に地方に雪を降らせる。
- 三寒四温の現象をもたらす。
- オホーツク海高気圧
- 北東の冷たい気流が吹き出し,日本の天気を悪化させ,梅雨現象をもたらす。
- 夏になってもこの高気圧の勢力が強い場合は,作物に冷害をもたらす。
- 移動性高気圧
- 春,秋に多く現れる。
- 円形又は楕円形の等圧線を持ち,低気圧のように西から東に移動する。
- 天気はよく,小春日和は,この影響である。
- シベリア高気圧
低気圧
- 周囲より気圧が低いところ。
- 北半球では空気が左回り(反時計回り)に中心に吹き込み,上昇気流となって,雲を生じる。
- 雨や雪を降らせ,日本付近では偏西風に流されて西から東に移動する。
- 中止に近づくほど気圧は低くなる。
- 熱帯低気圧
- 南洋(マーシャル)方面に発生し,前線は伴わない。
- 中心付近の最大風速が17m未満をいう。
- 17m以上は台風という。
- 台風圏内の天気
- 台風を一つの円と考え,進行方向の右側を右半円といい,左側を左半円という。
- 右半円は,中心に近づくため,風雨が強く危険半円という。
- 左半円は,右に比べて風雨が弱く可航半円という。
- 進行方向に対し垂直に線を引いたの右側を前半円といい,左側を後半円という。
- 前半円は中心が近づいてくるため,風雨が強くなる。
- 後半円は中心が遠ざかるの,風雨は弱くなる。
- 東南東の風が吹いているときは,台風の中心は,自船の南西方向と考えられる。
- 台風を一つの円と考え,進行方向の右側を右半円といい,左側を左半円という。
- 温帯低気圧
- 大陸方面で発生する通常低気圧と呼ばれているもの。
- 春先に日本海を通過するものは急速に発達する。
- 通過後は,大陸の高気圧から強い風が吹き,春一番とか東シナ海低気圧といわれる暴風がふく。
- 進行速度が速く暴風雨の区域も広い。
- 寒冷前線と温暖前線を伴うが,寒冷前線が追いつき閉そく前線となる。
- 大陸方面で発生する通常低気圧と呼ばれているもの。
前線
- 性質の異なる二つの大きな空気のかたまり,暖気と寒気が接触した場合,その境を前線面,前線面が地面と交わってできる線を前線という。
- 前線を境にして気象条件が異なるので,気温,風向,風速,湿度が急変する。
- 低気圧によって天気が悪くなるのは,低気圧自体ではなく,その中にある前線によることが多い。
- 温暖前線
- 暖かい空気が冷たい空気の上にのし上がって生ずる前線。
- 厚い層状の雲におおわれしとしと地雨が降る。
- 通過後は天気が回復し,気温が高くなる。
- 風向きは南寄りに変わって弱まる。
- 暖かい空気が冷たい空気の上にのし上がって生ずる前線。
- 寒冷前線
- 冷たい空気が暖かい空気の下に入り込んで生ずる前線。
- 積乱雲(入道雲)が広がり,突風,雷,にわか雨を伴う。
- 通過後は,雲が切れ,気圧が上がり視界がよくなる。
- 風向きは,南寄りから西寄りに変わり。
- 移動速度は,温暖前線より速い。
- 冷たい空気が暖かい空気の下に入り込んで生ずる前線。
- 停滞前線
- 冷たい空気と暖かい空気が押し合いあまり移動しないもの。
- 梅雨前線などは,オホーツク高気圧と小笠原高気圧の境界にできるもの。
- 冷たい空気と暖かい空気が押し合いあまり移動しないもの。
- 閉そく前線
- 寒冷前線が温暖前線に追いついてできる前線。
- 閉そく後,低気圧は次第に衰えてくる。
- 寒冷前線が温暖前線に追いついてできる前線。
時季による気圧配置と季節風
- 気圧配置
- 夏
- 日本の東方から小笠原群島方面にかけて高気圧があり,アジア大陸は熱せられて気圧が低い。
- 南高北低の気圧配置
- 等圧線は,天気図上で主に横に幅広い。
- 冬
- アジア大陸に大きな高気圧があり,日本の東方から北太平洋にかけて低気圧が通る。
- 西高東低の気圧配置
- 等圧線は天気図上で主に縦に並ぶ。
- 季節風
- 日本付近は,主に夏は南高北低,冬は西高東低の気圧配置から,その風向きもほぼ一定してくる。
- 夏の季節風は,南から南東の風で弱い。
- 冬の季節風は,北から北西の風で強い。
- 日本付近は,主に夏は南高北低,冬は西高東低の気圧配置から,その風向きもほぼ一定してくる。
天気図の見方
- 天気,風向,風力,雲量,気圧,気温などを符号や数字で書き込み,それに等圧線,高気圧,低気圧,前線を記入して,天気を示した図面のこと。
- 等圧線
- 天気図上で気圧の値が等しい地点を線で結んだもの。
- 等圧線の狭いところは広いところに比べ,風は強い。
- 南北の縦じまは,冬期
- 東西の横じまは,夏期であり幅も広い。
- 4ヘクトパスカル間隔で描かれ,20ヘクトパスカルごとに太線が使われているので,気圧が表示されている太線から,たし引きして等圧線上の気圧を求めることができる。
- 天気図上で気圧の値が等しい地点を線で結んだもの。
- 天気図上の記号(一例)
- ○・・・晴れ
- ◎・・・曇り
- ●・・・雨・・・・・など
- 天気の記号の右横の数字は気圧で,07ならば,1007ヘクトパスカル
- 天気の記号の左横の数字は温度で,22ならば,22℃である。
- 風向は天気の記号につながった棒線で示され,記号に向かって吹いている方向を示している。
- 風力はその線についている羽の数で示す。(弓矢の羽のような記号)
- 羽が1本で風力1,4本で風力4となる。
潮せきと潮流,海流
潮せき
- 月と太陽の引力作用により,海面が陸地に対して約6時間ごとに上下する動き。
- 通常は1日に2回ずつの干潮と満潮がくり返される。
- 高潮・低潮
- 海面が最も高くなったときを高潮,低くなったときを低潮という。
- 高潮から高潮までは約12時間で,一日約50分ずつ遅れていく。
- 地域によって干満の時刻は異なる。
- 海面が最も高くなったときを高潮,低くなったときを低潮という。
- 上げ潮・下げ潮
- 低潮から高潮までの間を上潮,高潮から低潮までの間を下げ潮という。
- 大潮
- 干満の差(潮差)が最も大きくなるころいい,新月,満月の1~2日後にあたる。
- 月令1日と16日ごろ
- 春秋の大潮のときが最も干満の差が大きい。
- 潮差とは,高潮と低潮との海面の高さの差のこと
- 小潮
- 干満の差(潮差)が最も小さくなるころいい,上弦,下弦の月の1~2日後にあたる。
- 月令8日と23日ころ
潮流
- 潮流
- 潮汐によって起きる海水の周期的な水平方向の流れ。
- 沖合いは弱く,湾口,水道などでは強い。
- 満潮と干潮の差が大きいところのほうが強い。
- 潮汐によって起きる海水の周期的な水平方向の流れ。
- 潮流の流向
- 流れて行く方向で表す。北に向かって流れているのは北流といい,南であれば南流という。
- 日本近海で潮流の激しい場所
- およそ7ノット以上
- 鳴門海峡,来島海峡,関門海峡,明石海峡などがある。
- およそ7ノット以上
海流
- 日本付近には,黒潮(日本海流)と親潮(千島海流)がある。
- 流向に変わりはない(季節などには影響は受けない)。
- 黒潮
- 赤道方面から流れ出す暖流で,塩分が多く色は濃い藍色である。
- 流向は北東
- 九州の南西で二つに分かれ,対馬海峡を通り日本海に入ったものを対馬海流という。
- 親潮
- ベーリング海から千島を南下する寒流。
- 流向は南西
- サハリンから日本海のロシア沿岸側を南下する寒流をリマン海流という。
国際信号旗(一部抜粋)