操船と発声
操船と発声
操縦席での確認
- 深呼吸して緊張をほぐし,楽な姿勢をとりましょう。
- かじが中央にくるようにして,右片手で(両手でもよい。)ハンドルの2時の位置(時計の短針2時のあたり)を軽くにぎる。
- かじ中央の確認は,右又は左にかじを一杯に回し,何回転したかを覚えておき,その,回した回数の半分がかじの中央。
- かじ中央になったら,ハンドル部分の特徴(目印)などを覚えておくとよい。
- スムースに動くか,ガタはないか。
- 左手はリモコンレバーに置く。
- 中立の位置を確認する。
- 前後に倒し,スムースに動くか,ガタはないか。(必ず中央に戻すことを忘れずに。)
- 試験官
- 「ハンドル操作をしなさい。」
- 受験者
- 「ハンドルの操作を行います。」
- 点検内容
- 1 ハンドル右及び左いっぱいに回し,何回転するか確認
- 「回しながら回転数を声に出して数える。(右○回,左○回)
- 2 ハンドルの中立を確認・点検
- 「ハンドル中立よし。ガタなし。」
- 3 リモコンレバーを前後に動かし,操作・点検する。
- 「リモコンレバー中立よし。」
- (必ず中央に戻すことを忘れずに。)
- 受験者
- 「ハンドル操作終了しました。」
- リモコンレバーの使い方
- 前進,中立,後進のクラッチの切り替え
- エンジン回転数の上げ下げ(増速,減速)
- クラッチの入れ方
- 中立からクラッチを入れるとき,素早くいれ,ガリガリとギヤ鳴りをさせない。
- クラッチが入り,増減速するときは,ゆっくりと操作する。
換気とエンジン始動
エンジン始動の指示があるまで,絶対にエンジンを始動させない。
換気は必ず実施すること。
- 試験官
- 「換気をして,エンジンを始動しなさい。」
- 試験官によって,「換気」と「エンジン始動」を分ける人もいますが,やることは同じですので,焦らないように。
- 「換気をして,エンジンを始動しなさい。」
- 受験者
- 「換気をし,エンジンを始動します。」
- 点検内容
- 1 機関室の換気
- 「機関室の換気をします。」(ブロアスイッチを入れる。)
- (試験のときは10秒程度。実際は90秒ほど換気します。)
- 「換気よし。」
- 2 ハンドルの再確認
- 「ハンドル中立よし。」
- 3 リモコンレバーの中立を確認。
- 「リモコンレバー中立よし。」
- 4 エンジンの始動
- 「エンジン始動します。」
- スターターモーターのスイッチを入れ始動させる。
- 5 始動後,異常音などがないか,燃料はあるかの確認(燃料計を確認)
- 「エンジン始動,燃料よし。」
- 1 機関室の換気
- 受験者
- 「エンジン始動終了しました。」
暖機運転
- 試験官
- 「暖機運転をしなさい(○○の回転に上げなさい。)。」
- 暖機運転の回転は,通常1300回転前後ですが,試験官が回転数を指示した場合は,その回転数にする。
- 「暖機運転をしなさい(○○の回転に上げなさい。)。」
- 受験者
- 「暖機運転を行います。」
- 操作方法
- 1 機関(クラッチの中立を確認)中立を確認
- 「機関中立よし。」
- 2 リモコンレバーを操作して,回転数を上げる。
- リモコンレバーのスロットルノブを中立の位置で押す。
- 押し込んだまま,開いている片方の手でリモコンレバーを前に倒し,前進の位置に入れる。
- 手を離して,右手でハンドルを持ち,左手でリモコンレバーをゆっくり押し込んで
指定の暖機運転の回転数に合わせる。 - 「暖機運転よし。」
- 1 機関(クラッチの中立を確認)中立を確認
- 受験者
- 「暖機運転行いました。」
- 試験官
- 「暖機運転を終了しなさい。」
- エンジンの停止を指示されることもある。
- 「暖機運転を終了しなさい。」
- 受験者
- 「暖機運転を終了します。」
- 1 リモコンレバーを元の中立に戻す。
- 「機関中立よし。」
- スロットルノブは自動的に元に戻ります。
- エンジンの停止を指示された場合は,機関の中立を確認後,エンジンを切る。
- 「機関中立よし。」
- 2 回転数が下がったことを確認する。
- 受験者
- 「暖機運転を終了しました。」
- (エンジンを停止しました。)
運転のポイント
- 必ず安全確認を行うこと。大きな声,大きな身振り手振り,指差呼称。
- 指差呼称では,指した方向・場所を必ず視認する。
- 前後左右確認は,発進も含め,変針,後進,増速,減速,停止すべての項目で必ず行うこと。
- 最初の発進の際,後進,離岸の場合は,船尾(プロペラの部分)の確認をします。
- この場合,同乗者に確認してもらう場合もあります。
- まっすぐ走らせること。
- 直線目標の決め方の図を参照してください。
- 船首中央の先端と目標物を合わせないこと。斜めに目標物を見ることになります。
- 直線目標の決め方の図を参照してください。
- かじの操作は,細かく,早めに行うこと。
- 大かじ禁止。1500回転以下はOKですが,それ以上は危険行為とみなされます。
- かじのききは,少し遅れる。
- 車と違って,少し遅れてから効き始めます。ですから,早めの操作が必要です。
- 目標に船の針路が向いてから,ハンドルを戻すと,かじの効きが遅いことから遅れてしまうので,目標の針路に船が向く少し前にハンドルを元に戻す早めの操作が必要です。
- 車と違って,少し遅れてから効き始めます。ですから,早めの操作が必要です。
- 切ったかじは元に戻す。
- 車のようにハンドルを切った後,ハンドルから手をはなしてもハンドルは元には戻りません。必ず自分でハンドルを元の中央に戻します。
解らん
- 係船しているロープをはずすこと。
- 試験官
- 「解らんしなさい。」
- 受験者
- 「解らんします。」
- 1 船首と船尾のロープをはずし,ロープは線愛に取り込んでおくこと。
- ある程度,きれいにまとめて,取り込むこと。
- 船体からロープがたれていることのないようにすること。
- 受験者
- 「解らん終了しました。」
発進
- 試験官
- 「発進しなさい。」
- 受験者
- 1 船尾(プロペラ)付近の安全確認
- 「船尾付近よし。」
- 「前後左右よし。」
- 「発進します。」
- 2 回転数は1000回転以下
- 「発進しました。」
- 3 目標に向かって,まっすぐ進むこと。
- 1 船尾(プロペラ)付近の安全確認
直進
- 試験官
- 「目標に向かって滑走(○○回転まで増速)しなさい。」
- 受験者
- 「滑走(増速)します。」
- 1 安全確認
- 「前後左右よし。」
- 2 回転数をゆっくりと上げて,2700回転(±100)ぐらいを保つ。急加速禁止。
- 「滑走(増速)よし。」
- 3 滑走状態になり,水の抵抗が少なくなると回転数が少し上がるので,
回転数は常に注意し,微調整すること。 - 4 蛇行運転などしないようにすること。
- 5 回転数を指定された場合は,その回転を維持すること。
停止
- 試験官
- 「停船(エンジン中立)しなさい。」
- 受験者
- 「停船します。」
- 1 後方確認(必ず後方を視認すること。)
- 「後方よし。」
- 2 回転数をゆっくり下げる。急停止禁止。
- リモコンレバーを中立にする。
- 「停船(中立)よし。」
後進
- 試験官
- 「目標に向かって後進しなさい。」
- 受験者
- 1 同乗者に船尾の安全確認を依頼する。
- 「船尾(プロペラ)付近の安全確認をお願いします。」
- 2 安全確認の報告を受ける。
- 「船尾よし。。」
- 3 安全確認
- 「前後左右よし。」
- 「後進します。」
- 4 リモコンレバーを後進に入れ,後方を注視し,1500回転以下を保つ。
- 5 前進よりもかじの効きが悪いので,船尾の動きに注意し,早めのハンドル操作を行うこと。
- 6 かじを中央にして後進しても,まっすぐには後進しない。
- 1 同乗者に船尾の安全確認を依頼する。
変針
- 試験官
- 「目標(○○度)に向かって変針しなさい。」
- 受験者
- 「変針します。」
- 1 安全確認
- 「前後左右よし。」
- 「○○へ変針。」
- 2 大かじ禁止。ゆっくりかじをきる。右7時,左9時の位置くらいまでが目安。
- 水域に応じて適切なハンドル操作をすること。
- 3 目標に完全に向く前に早めにハンドルを戻す。
- 4 変針後のハンドル位置は中央。
- 「変針(終了)しました。」
蛇行
- 約50m間隔に設置されたブイの間を蛇行します。
- 指定した速力(回転数)を維持して行います。
- 蛇行終了後も指示があるまでそのまま直進すること。
- 左右どちらから入るよう指示がない場合は,どちらから蛇行しても可。
- ブイを通過できない場合は減点ですが,ブイとの接触・接近しすぎは危険行為とみなされます。
- 試験官
- 「蛇行しなさい。」
- 受験者
- 「蛇行します。」
- 「第一ブイを右(左)に見ます。」
- 1 安全確認
- 「前後左右よし。ブイ周辺よし。」
- 2 ブイ正面から入り,正面へ抜ける。
- 第一ブイと第三ブイの延長線上に目標物を定めておく。
- 3スピードの出しすぎに注意。
- 4 ブイとブイの間を通る。
- 5 かじはすぐに効かないことを念頭に入れ早目にハンドル操作をすること。
- 6 大かじに注意。
- 「蛇行(蛇行終了)しました。」
人命救助
- 要救助者発見の想定で,人に見立てた救助用のブイを自分自身で船内に引き上げます。
- 左右どちらの舷で救助するか試験官に告げてください。
人命救助の際にエンジンを中立にしない場合,2回救助に失敗した場合は,危険行為とみなされます。
- 試験官
- 「遭難者発見,救助してください。」
- 受験者
- 「救助に向かいます。」
- 1 安全確認
- 「前後左右よし。」
- 「右げん(左げん)で救助します。」
- 2 ブイに接近後早めに中立に入れる。
- 3 行き足が足りなければ,再度,前進に入れてもよい。
- 4 行き足が速すぎる場合は,後進に入れてもよい。
- ブイが舷横に来てから後進するのは,危険行為とみなされます。
- 5 行き足が止まるくらいの状態で救助する。
- 6 救助は必ずエンジンを中立にし,自分自身で引き上げる。
- 7 一度目に失敗した場合は,直ちに再救助に向かうこと。
- あせらず,試験官に「再救助に向かいます。」と告げて,再度行うこと。
- 「救助しました。」
避航操船
- 航行中に,試験官が他船との見合い関係(行き会い,横切りなど)を図や写真を提示して避航の操船をテストします。
- 行き会いの航法,横切りの航法,各種船舶間の航法を頭に入れておいてください。
- 正面又は左(右)げんから来る船舶,ヨット,水上バイクなどいろいろありますので,図や絵を見せられたら,実際にその船舶と見合いの関係等にあるものとして操船してください。
- あせらず,船舶を見間違わないこと。
- 必ず減速,安全確認して避航します。
- 試験官
- 図や絵を提示して,「避航操船してください。」
- 受験者
- 確認・判断して,
- 「避航します。」
- 1 安全確認
- 「前後左右よし。」
- 「避航します。」
- 2 減速
- 3 操船終了。
- 「避航終了しました。」
- 確認・判断して,
着岸
- 操縦席が着岸点の真横になるように着岸する。
- 船と桟橋の間は,2m以内とし,平行になるように行き足を止める。
- 特に指示がないときは,左右のどちらの舷で着岸してもかまいません。
- 着岸したら,係留ができる状態であるかどうかを,確認します。この場合,操縦席から離れて確認します。
- ボートフックを準備しておくことを忘れないこと。
- 試験官
- 「着岸点に着岸しなさい。」
- 受験者
- 「左げん(右げん)で,着岸します。」
- 1 安全確認
- 「前後左右よし。」
- 2 回転数を1000回転以下にし,進入角度は30度程度とする。
- 3 早めにエンジンを中立にし,行き足が足りなければ,何回か前進にいれてももよい。
- 4 行き足が強すぎる場合は,後進に入れて,行き足を止めるてもよい。
- 5 着岸点を行き過ぎてから,後進するのは,着岸失敗となる。
- 「停止位置よし。」
- 「着岸しました。」
離岸
- 桟橋などから安全なところまで船を離すことで,指示された水域まで離岸してください。
- 特に指示がない場合は,前進,後進どちらで離岸してもかまいません。
- 船が桟橋にくっついているときは,ボートフックを利用し,船を桟橋から離す。
- 試験官
- 「離岸しなさい。」
- 受験者
- 1 安全確認
- 「船尾付近の確認をお願いします。」
- 2 安全確認の確認後
- 「船尾付近よし。」
- 「前進(後進)離岸します。」
- 「前後左右よし。」
- 3 回転数は1000回転以下とし,大かじは取らない。
- 特に前進離岸の場合は,キック作用により船尾を桟橋などに接触させないこと。
- 4 指定された水域まで移動したら,エンジンを中立にする。
- 「離岸しました。」
- 1 安全確認
係留
- 桟橋などに船首,船尾をロープで一人でつなぎます。
- 係留施設に適した結び方で係留してください。
- 船が桟橋に接触しないように,フェンダーを使用する。
- 試験官
- 「係留しなさい。」
- 受験者
- 「係留します。」
- 1 船首と船尾の2本のロープを持って,桟橋に上がる。
- 2 船と桟橋の間は,30cm~50cmくらいとし,桟橋と船が平行になるようにする。
- 3 船尾のロープは乗降しやすいよう短めにし,船首は長めにする。
- 4 船首,船尾どちらから係留してもかまいませんが,風や潮流の流れに注意し,船が桟橋から大きく離れないようにする。