航海の基礎
航海の基礎
航海計器
- 磁気コンパス
- コンパスの備え付け場所
- 近くに金属物やモーター類のないところ。
- 操船しながら見やすいところ。
- 直射日光,波しぶきがかからないところ。
- 波の衝撃などにより外れないようにする。
- コンパスの備え付け場所
- コンパスカードの読み方
- 点画式・・・英語の頭文字(記号)で表す。
- 360度式・・・右回りに度数で表す。
- N(北) :ノース :000°
- NE(北東):ノーイースト:045°
- E(東) :イースト :090°
- SE(南東):サウイースト:135°
- S(南) :サウス :180°
- SW(南西):サウウエスト:225°
- W(西) :ウエスト :270°
- NW(北西):ノーウエスト:315°
- 度数の出し方
- 右正横・・・進行方向に向かって右90°
- 左正横・・・進行方向に向かって左90°
- 反方位・・・進行方向に向かって,その真後ろ180°
- 360度式の場合は右回りに読んでいくほど,数字は大きくなり,左に戻ると小さくなる。
- 現在の針路の右正横は,現在の針路に90°をたす。
- 現在の針路の左正横は,現在の針路に90°を引く。
- 反方位,現在の針路に180°をたすか引く。
- 現在の針路が180°以上であれば引き,180°未満であればたせばよい。
- 例題1
- 針路NEで航行中,その右正横は度数読みでは何度か。また,反方位は何度か。
- NEは45°右正横は90°だから,45+90=135°
- 反方位は,45の針路の真後ろだから,45+180=225°
- 針路NEで航行中,その右正横は度数読みでは何度か。また,反方位は何度か。
- 例題2
- 針路315°でAからBに出航した。帰りは何度で航行すればよいか。
- 315-180=135°・・・(現在の針路が180°以上であれば引く。)
- 針路315°でAからBに出航した。帰りは何度で航行すればよいか。
- 例題3
- コンパス針路335°で航行中の右げん45°は,コンパス方位で何度か。
- 335+45=380
- 380°は,360°式では,020°(380-360)
- コンパス針路335°で航行中の右げん45°は,コンパス方位で何度か。
- 例題4
- コンパス針路015°で航行中,左90°のコンパス方位は何度か。
- 左90°は,引けばよいから,15-90・・・引けないので,000°を360°に置き換えて,360+15=375
- 375-90=285°
- コンパス針路015°で航行中,左90°のコンパス方位は何度か。
- 偏差
- 磁北と真北とのずれ
- 磁気コンパスの針は地球の磁極を指し,真北(北極点)とは,東西のどちらかにずれている。このずれを偏差という。
- 日本近海は5°から9°の西偏差である。
- 偏差は年々わずかに変化する。
- コンパス図の外側の目盛りは真方位目盛りで0°は真北を指す。
- 真針路や真方位を求める場合に読む。
- コンパス図の内側の目盛りは磁針方位目盛りで,0°は磁北を指す。
- 磁針路や磁針方位を求める場合に読む。
- 真方位目盛りと磁針方位目盛りの差が偏差の値である。
- 磁北と真北とのずれ
- 自差
- 磁気コンパスは,船内の金属物や電気機器など磁気を帯びているものの影響を受けると磁北を指さず,東西どちらかに狂ってしまうことがある。この狂いを自差という。
- 自差はいつも一定ではなく,常に変化する。
- 船首方向が変わったとき。
- 地球上の位置が変わったとき。
- コンパスの取りつけ位置を変えたとき。
- 船内の金属物を移動したとき。
- 参考
コンパスがなくてもある程度方位を知ることができる方法。- アナログの時計を水平にして,短針を太陽に向け,時計の12時と短針の中間方向がほぼ南を示す。
GPS
- グローバル・ポジショニング・システムのことで,人工衛星から送られてくる電波信号を利用して現在位置を測定するシステム。
- 船の位置・目的地までの針路・距離等を表示してくれる。
- 暗礁や浅瀬などの表示はないので,注意する。海図を併用する。
- GPSプロッタ
- 海岸線も表示するGPS受信機
- 船の位置・目的地までの針路・距離等を表示してくれる。
航路標識
- 灯光や形,色,音響,電波などを使用して,船舶が陸地付近への接近,沿岸を航行,港湾の出入りの際に船の位置を確認したり,援助したりするために陸地や海上に設けられた施設。
- 航路標識には,夜間灯光されるものが多い。
- 灯光は,通常日没から日の出まで点灯されるが,視界の悪いときも点灯される。
航路標識の種類
- 灯光,形,色によるもの(夜間は灯光,昼間は形や色で示す。)
- 灯台
- 島,岬,港の入り口など公海上の要所に設置されている。
- 灯浮標(とうふひょう),浮標
- 岩礁や浅瀬又は航路を示し,海面上に設置され海底に係止されている構造物
- 灯標,立標(りっぴょう)
- 岩礁や浅瀬などを表示するため,その上に固定されている航路標識
- 導灯(どうとう),導標
- 狭い水道や湾口などで安全に航行できる一定の進路を示すために2基1対で設置されている。
- 参考
- 灯の文字が付くものは,夜間に灯光がつく。
- 浮標,立標,導標は昼間しか利用できない。
- 灯台
- 音響によるもの
- 霧信号所
- 霧,吹雪等の多い海域に位置する主要な灯台に設置され,視界の悪いときは昼夜を問わず音を発し,危険海域を示す。
- 電波によるもの
- 常時電波を発し,船がその電波を受信することで,方位・位置を知ることができる。
- 潮流信号所
- 潮の流れが速く,複雑なところで船の通航が困難な狭い水道などに設置され,船舶に潮の流れの状態を知らせる。
- 霧信号所
灯台
- 灯質
- それぞれ固有の色と光り方が定められており,海図に位置,灯質を記号や数字で記載している。この記号を灯略記という。
- 海図に記載してある灯略記の意味
- 次の順で記載されている。
- 灯色は,Gはグリーン,Rはレッド,Wは白(ただし,Wは海図上省略されている。)の3色が基本
- 次の順で記載されている。
- 例
☆ | FI | G | 10s | 25m | 15M |
---|---|---|---|---|---|
記号 | 灯質 | 灯色 | 周期 | 灯高 | 光達距離 |
灯台 | 単閃光 | 緑 | 10秒 | 25m | 15海里(マイル) |
- 灯質(具体例)
名称 | 光り方 | 記号 | 灯略記(具体例) |
---|---|---|---|
不動光 | 一定の光度を持続し,時間のないもの | F | FW |
単明暗光 | 1周期内に一つの明間をもつ明暗光 | Oc | OcG10s |
群明暗光 | 1周期内に複数の明間をもつ明暗光 | Oc(2) | Oc(2)W15s |
等明暗光 | 一定の光度を持つ光を一定の間隔で発し,明間と暗間の長さが同じ | Iso | IsoG10s |
単閃光 | 1周期内に一つの明間をもつ閃光 | FI | FIG10s |
群閃光 | 1周期内に複数の明間をもつ閃光 | FI(3) | FI(3)R15s |
不動互光 | 暗間のない互光 | AI | AIWR10s |
- 言葉の意味
- 明間(みんかん)
- 灯光のついている時間(秒)
- 暗間(あんかん)
- 灯光の消えている時間(秒)
- せん光
- 一定の光度を持つ,1分間に50回未満の割合の光を一定の間隔で発し,明間又は暗間の和が暗間の和より短いもの(光が少ない)
- 明暗光
- 一定の光度を持つ光を一定の間隔で発し,明間又は明間の和が暗間又は暗間の和より長いもの(光が多い)
- 互光
- それぞれ一定の光度を持つ異色の光を交互に発するもの。
- 光達距離
- その灯台の光を何海里先から視認することができるかという値
- 平均水面上5mの高さで測定した値を海里(マイル=M)の単位で海図に記載している。(1M=1852m)
- 明間(みんかん)
灯浮標
- 灯浮標,浮標はその設置目的によって,特別の色で塗り分けられ,航法も定められている。これを浮標式という。
- 灯浮標,浮標の標体の上部についているものを頭標(トップマーク)という。
- この灯浮標,浮標は種類があるので,覚えるのが大変ですが,ちょっとしたコツを教えておきますね。覚えてしまえば,試験のとき出題されても楽ですよ。
- 灯浮標,浮標の標体の上部についているものを頭標(トップマーク)という。
- 主な浮標式
種別 | 塗色 | 光 | トップマーク | 意味 |
---|---|---|---|---|
左げん標識 | 緑一色 | 緑 | 円筒形 | 入港するとき,その標識の左側に岩,浅瀬などの障害物があり,右側に可航水域があることを示す。 |
右げん標識 | 赤一色 | 赤 | 円すい形 | 入港するとき,その標識の右側に岩,浅瀬などの障害物があり,左側に可航水域があることを示す。 |
孤立障害標識 | 黒字に赤横じま | 白 | 球形2個 | 浮標の位置又はその付近に岩,浅瀬などの障害物があることを示す。 |
安全水域標識 | 赤と白の縦じま | 白 | 球形 | 浮標の位置が安全な航路筋の中央部であることを示す。 |
特殊標識 | 黄一色 | 黄色 | ×印 | 海洋観測施設,工事区域があることを示す。 |
北方位標識 | 黄と黒の横ジマ | 白 | 円すい形2個 | 浮標の北側に可航水域があることを示す。 |
西方位標識 | 黄と黒の横ジマ | 白 | 円すい形2個 | 浮標の西側に可航水域があることを示す。 |
南方位標識 | 黄と黒の横ジマ | 白 | 円すい形2個 | 浮標の南側に可航水域があることを示す。 |
東方位標識 | 黄と黒の横ジマ | 白 | 円すい形2個 | 浮標の東側に可航水域があることを示す。 |
- 覚え方のコツ
- 左げん標識は緑一色,右げん標識は赤一色なのでこれは素直に覚えましょう。
- 黄色も一つしかありません。黄色は「注意」で特殊だよ。
- 東西南北の方位標識ですが,円すい形のトップマークに注目しましょう。普通,地図では,北は上,南は下ですよね。東からは太陽が昇り西に沈みます。
- 北方位標識のトップマークは,円すい形のトップマーク上下2個の頂点が,2個とも上を示しています。地図の北を示してます。
- 南方位標識のトップマークは,円すい形のトップマーク上下2個の頂点が,2個とも下を示しています。地図の南を示してます。
- 東方位標識のトップマークは,円すい形のトップマーク上下2個のうち,上側のトップマークの頂点が上を示して,下側は下を示しています。「日は昇る。」です。
- 西方位標識のトップマークは,円すい形のトップマーク上下2個のうち,上側のトップマークの頂点が下を示して,下側は上を示しています。砂時計マークで「日は沈む。」です。
- 浮標式で用いる「右」「左」の定義(右げん,左げん浮標等)
- 右とは,海口から水源に向かって右のこと(港の奥(陸側)に向かって右)
- 海口とは,港の入り口側,水源とは港の奥側のこと
- 左とは,海口から水源に向かって左のこと(港の奥(陸側)に向かって左)
- 右とは,海口から水源に向かって右のこと(港の奥(陸側)に向かって右)
- 通航方法
- 入港する場合は,右げん浮標を右側に,左げん浮標を左側に見るが,出航するときは逆に右げん浮標は左に,右げん浮標は左に見ることになる。
- ※ 実技の試験でも質問される場合があるので頭に入れておくこと。
水路図誌
- 航海,停泊などに直接関係のある事項を編集したものを水路図誌といい,海上保安庁が発行し,海図と水路図誌に大別される。
海図
- 使用上からの分類・・・縮尺によって,総図,航洋図,航海図,海岸図,港泊図の5種類に分類されている。
- 小型船舶では主に海岸図,港泊図が使用される。
- 海岸図・・・航海図より精密に作られ,沿岸や内海を航行するとき,港湾の出入りなどに用いる。
- 港泊図・・・港泊図は,港湾,びょう泊地,海峡など小区域を大きく拡大した精密海図で,初めての港に入港するときなどに役立つ。
- 小型船舶では主に海岸図,港泊図が使用される。
- 測地系
- 世界測地系・・・人工衛星で観測した地球の正確な経度・緯度で,国際的に定められている測地基準
- 日本測地系・・・以前に使用されていた。日本測地系の緯度・経度のデータを世界測地系の海図で用いると400~500mずれるので使用してはならない。
- 最高水面(略(ほぼ)最高高潮面)
- 一番潮の満ちたときの水面(海図上の海岸線の位置である。)
- 平均水面
- 高潮と低潮のときの水面を平均した水面をいう。山・島の高さ,灯光の高さなどはこの水面からの高さを示している。
- 最低水面(略最低低潮面)
- 一番潮の引いたときの水面。海図に記載された水深を示す数字と干出岩の高さを示す数字はこの水面を基準とする。
- 暗岩・・・最低水面でも出ない岩
- 洗岩・・・最低水面で頂が水面付近になる岩
- 干出岩・・・最低水面のとき水面上に頂を現す岩
- 一番潮の引いたときの水面。海図に記載された水深を示す数字と干出岩の高さを示す数字はこの水面を基準とする。
- 等深線
- 水深のほぼ等しいところを細線で結んで海図に記載し,水深の目安にしている。
- 海図図式(海図上のマーク)
- 教本及び問題集も参照してください。難しいものはありません。例えば,いかりのマークは錨地,ヨットのマークはマリーナなどです。
- 海図使用上の注意
- 新しい海図を使用する。
- 縮尺比の小さい海図を使用する。小型船舶では,海岸図,港泊図。
- 折りたたんだり,水にぬらしたりしない。
- 記入には芯のやわらかい鉛筆を使用する。
- 海図記載の潮流の方向や速さは,実際のものと異なる場合がある。
- 海図記載の水深が少ないところは,航行上注意しなければならない。
- 海図で測った方位には,自差は含まれていない。
- 潮時(干潮,満潮の時間)は海図ではわからない。
- 海図に記入されている数字の単位
- 水深,物標の高さ・・・メートル(m)
- 距離(光達距離)・・・海里(マイル,M)
- 速力(潮流)・・・ノット(Kn,Kt)
- 海図の購入方法
- 水路図誌目録で海図の番号や名称を調べて注文する。
海里・緯度・経度
- 海里(マイル)
船舶の航海関係で使う距離の単位は「海里=マイル(M)」を使うことが多い。- 海里は,地球の緯度1分の長さを1海里とすると定められている。
- 緯度1分(1’)=1海里(1マイル)=1852m
- 1度(1°)=60分(60’)=60海里(60マイル)
- 1分(1’)=60秒(60”)
- 海里は,地球の緯度1分の長さを1海里とすると定められている。
- 緯度
赤道を0度とし,地球を南北に90度ずつに区切り,海図の左右に緯度目盛りとして記載している。- 1度を60分に目盛り,その1分の長さを1海里として定めている。
- 海図上で距離を測るときは必ず緯度の目盛りを使用しなければならない。
- 経度
イギリスのグリニッジ天文台の子午線を0度とし,地球を東西に180度づつに区切り,海図上の上下に経度目盛りとして記載している。
- 距離の測り方
- 海図で距離を測る場合
- 海図を北にしておく。
- 求めたい地点間をデバイダー(コンパスの両方が針のもの)で測る。
- デバイダーを海図の左右の緯度目盛り上に移動し,何分あるか読みとる。
- デバイダーを緯度目盛りに移動するときは,求めた地点間の真横の目盛りに移動すること。
- 仮に5分であれば,5海里(マイル)であり,9260mである。
- 海図で距離を測る場合
方位・針路の求め方
- コンパスで測定した目標の方位線を海図上に記入したり,針路を求めたりするには,海図上にあるコンパス図を利用し,2枚の三角定規を使って平行移動すればよい。
- 1級免許試験では必ず使用しますが,2級では使用しません。
- 図・・・省略
針路の改正
- 実航真針路からコンパス針路を求める場合。
- 実航真針路に偏差,自差を加減して求める。
- W(ウエスト)はプラス(+),E(イースト)はマイナス(-)する。
- 例題) 実航真針路068°,偏差4°W,自差3°E,であるとき,コンパス針路は何度か。
- 68+4-3=69°
- コンパス針路から実航真針路を求める場合
- コンパス針路に偏差,自差を加減して求める。
- W(ウエスト)はマイナス(-),E(イースト)はプラス(+)する。実航真針路からコンパス針路を求める場合と+,-が逆になるので注意する。
- 例題) コンパス針路058°,自差2°W,偏差5°E,であるとき実航真針路は何度か。
- 58-2+5=61°
水路書誌
- 水路誌と特殊書誌に分けられる。
- 水路誌
- 海上における気象,海流,潮流等の諸現象,航路の状況,沿岸及び港湾の地形などが詳細に記載されているもの。
- 特殊書誌
- 灯台標,潮汐表,水路図誌目録など
- 水路誌
小型船舶用の航海参考図誌
- ヨット・モーターボート用参考図
- プレジャーボート・小型船舶用港湾案内
航海に関する計算
- 船の速力を示す単位としてノットが用いられる。
- ノットとは1時間にその船が何海里走れるかということ。
- 1ノットは1時間に1海里走る速力のこと。
- 20ノットは1時間に20海里走る船のこと。
速力(ノット)の計算の仕方
- 計算方法(対地速力)
- 海里×60分÷所要時間=ノット
- ノットは,1時間(60分)が基準であるから,1時間で何海里走れるかを求めればよい。
- 海里×60分÷所要時間=ノット
- 例題) 4海里を15分で航走する船の速力は何ノットか?
- 計算式に当てはめ,4×60÷15=16ノット
- 例題) 1500mを6分で航走する船の速力は何ノットか。
- 海里ではなく,メートル表示で質問されている場合,1時間(60分)で15000m進むので,これを海里に当てはめると,15000÷1852=8.099・・・約8.1ノット
- 対水速力と対地速力
- 対水速力
- スピードメーターなどで測定した速力(潮流などの影響を受ける。)飛行機が気流の影響を受けるのと同じです。
- 対地速力
- 実際に航走した距離とそれに要した時間から計算した速力
- 対水速力が10ノットの船が2ノットの潮流に逆らって航走した場合,対地速力は10-2=8ノットで,2ノットの潮流を受けて航走した場合は,10+2=12ノットの対地速力となる。
- 対水速力
所要時間の計算の仕方
- 2地点間の距離がわかっている場合には,所要時間も計算できる。
- 時間の単位で求める場合
- 海里÷速力=所要時間
- 注意・・・答えが小数点になった場合,例えば0.2時間などは,0.2は20分ではなく,12分である。(0.2は分単位に直すと60×0.2)
- 海里÷速力=所要時間
- 分の単位で求める場合
- 海里×60分÷速力=所要時間
- 例題) 速力9ノットで12海里航走すると所要時間はいくらか。ただし,潮流や風の影響は受けないものとする。
- 時間で求めた場合 12÷9=1.333 約1時間19分
- 分で求めた場合 12×60÷9=80 80分又は1時間20分
- 例題) 速力12ノットで42海里離れた地点間を航行する場合の所要時間はいくらか。ただし,針路に対し真向かいに流れる流速2ノットの海流がある。
- 2ノットの真向かいの海流影響を受けるので速力は10ノットとなる。
- 42÷10=4.2 約4時間12分
- 例題) 速力10ノットで航行中のA船が,その船首方向,距離7400m離れた地点を,速力8ノットで航行するB船に追いつくまでの所要時間は何時間か。ただし,その後も両船の針路,速力に変更はなく,潮流等の影響もないものとする。
- 7400mは海里にすると,3.99 約4海里
- 速力の差 10-8=2
- 4÷2=2時間
航走距離の計算の仕方
- 速力がわかっていれば,何時間(又は分)航走したかで,その走った距離が計算できる。
- 速力(ノット)×所要時間÷60分=航走距離
- 例題) 24ノットの速力で12分間航行した距離は何海里か。
- 24×12÷60=4.8海里
- 例題) 速力12ノットのA船と8ノットのB船が,真向かいに行き会うとき,1分間に両船は約何m近づくか。
- 両船が近づく速力は,12+8=20ノット(1時間に20海里)
- 20海里をメートルに直すと,20×1852=37040m(1時間当たり)
- 1分当たり,37040÷60分=617.33・・ 約617m近づく
平均速力の計算の仕方
- 往航(往路)と復航(復路)で速力が違うときの平均速力を求める場合など
- 往復の航走距離÷往復の所要時間=平均速度
- 例題) A港からB港まで60海里ある。往路は15ノットで,復路は10ノットで航走した。平均速力は何ノットか。
- 往航の所要時間 60÷15=4時間
- 復航の所要時間 60÷10=6時間
- 120÷10=12ノット
- 例題) 速力12ノットのA船が,その船首方向10海里離れて航行中のB船に追いつくまで2時間30分かかった。B船の速力は何ノットか。ただし,両船とも針路,速力は変わらず,潮流の影響もないものとする。
- A船がB船に追いつくまでの距離は,12×2時間30分(150分)=30海里
- B船はA船が追いつくまでの2時間30分に,30海里-10海里=20海里航走した。
- B船の速力は,20×60÷150=8ノット
沿岸における船位測定法
- 海図上における自船の現在位置のことを船位という。
見通し線と方位線
- 見通し線
- 航行中,海図上で位置を確認できる2つの目標を選び,この2つの目標が船から一直線に重なって見えたとき,海図にその2つの目標を結んだ線を引くと,自船はこの線上のどこかにいることになる。
- 船首目標や変針するときの目標としても利用される。
- 方位線
- 航行中,海図上で位置を確認できる1つの目標物を選び,その目標物の方位をコンパスで測り,海図上のコンパス図を利用して,目標物から測定した方位の線を引と,自船は現在この線上のどこかにいることになる。
船位の求め方
- クロス方位法(交差方位法)
- 船上から違った方向で,海図に記載されている目標を2~3箇所選ぶ。
- その目標の方位をコンパスですばやく測定し,海図上に方位線を引く。
- その2方位線(又は3方位線)の交点が船位となる。
- 3方向の目標物を利用した場合に,測定に誤差があると交点とならず,三角形の形ができる。三角形が大きいと誤差が大きいので測定をやり直す。
- 磁気コンパスで方位測定したときは,自差の改正が必要となる。
- 目標物が2箇所のときは,なるべく90°に近いものを選ぶとよい。
- 四点方位法
- 船上から海図に記載されている適当な目標物(C点)を1つ選ぶ。
- その目標を進行方向に対する角度(船首角)45°に測定した時点で時刻を記録する(第一測定A点)。
- 同じ目標を正横(90°)に見る時点で,再度時刻を記録する(第二測定B点)
- A,B,Cを結んでできた三角形は二等辺三角形であるからBC=ABとなる。
- A,Bの距離は,AからBまで航行した速力と移動した時間とで求められる。
- C点との距離と方位から,船位を求めることができる。
- 一定の針路と速力を保つ必要がある。
- コンパスと圧力ログ(速力の測定)が必要。
- あまり遠方の目標物を利用すると,誤差が大きくなるおそれがある。
- 船首倍角法
- 船上から海図に記載されている適当な目標物(C点)を1つ選ぶ。
- その目標を進行方向に対する角度(船首角α)を測定し時刻を記録する(第一測定A点)。
- 同じ目標の船首角を第一測定の倍の角度(2α)に測定した時点で再度時刻を記録する(第二測定B点)
- A,B,Cを結んでできた三角形は二等辺三角形であるからBC=ABとなる。
- A,Bの距離は,AからBまで航行した速力と移動した時間とで求められる。
- C点との距離と方位から,船位を求めることができる。
- 1回目(第一測定)の角度は,何度でもよいところが,四点方位法との違いである。
- クロス方位法,四点方位法,船首倍角法による船位測定の相異点
利点・欠点 | |
---|---|
クロス方位法 | 2個以上の物標が必要 |
船位の決定がすばやくできる。 | |
制度が高い。 | |
停船中も船位がでる。 | |
コンパスが必要。 | |
四点方位法・船首倍角法 | 1個の物標があればよい。 |
ある時間航行しなければ船位がでない。 | |
風や潮流などの影響を受け,制度が落ちる。 | |
針路・速力の一定が必要。停船中は船位がでない。 | |
コンパスと圧力ログが必要。 |
- 針路に対する風や潮流の影響
- 船が一方の側から風又は潮流を受けて航走するとき,船首は定められた針路に向きながらも,船全体は横流れの状態で進む。
- 一般に風又は潮流が強いほど。
- 船の速力が遅いほど流され方が大きい。
- 船が一方の側から風又は潮流を受けて航走するとき,船首は定められた針路に向きながらも,船全体は横流れの状態で進む。