船体・設備・装備品
船体・設備・装備品
船の分類
船の航走状態による分類
- 排水型
- 止まっているときも走っているときも,喫水線の位置が余り変わらない船。
- 大型船など。
- 止まっているときも走っているときも,喫水線の位置が余り変わらない船。
- 滑走型
- 高速になると船体の底部がわずかに水面に接している船。
- 高速のプレジャーボートなど。
- 高速になると船体の底部がわずかに水面に接している船。
- 半滑走型
- 排水型と滑走型の中間タイプ
機関の装備の方法による小型船の分類
- 船外機船
- 船尾の外側に機関(エンジン及び推進器(プロペラ))を装着して使用する。
- 独立した舵がない(舵とプロペラが一体となっている。)。機関を左右に動かす又は推進器(プロペラ)の部分を左右に動かすことによって,進路を変更するもの。
- 船内外機船(インボード・アウトドライブ・エンジン船)
- 機関を船尾の機関室に据え付け,推進器を船外に出す方式。
- 独立した舵がない。(機関は左右に動かないが,推進器の部分だけ動く。)
- 船内機船
- 機関を船内の中央付近に据え付け,貫通するプロペラシャフトによってプロペラを回転させるもの。(プロペラは固定されていて,左右には動かない。)
- 独立した舵がある。(舵と推進器はそれぞれ独立している。)
- ウオータージェット推進機船
- 船内にエンジンとポンプを取り付け,船底から吸い込んだ水を船尾の噴射口から噴出して推進する。
- 水上バイクなど。
船舶の構成
- この部分は,非常に専門用語が多く,へたくそな私の図では理解しずらいところもありますので,詳しくは教本及び問題集などを参照してください。
- 自分で簡単な絵や図を書いて覚えることも有効です。
船体
- 船は,前を「船首」又は「おもて」と呼び,後ろを「船尾」又は「とも」と呼びます。
- 船の横腹のことを舷(げん)といい,後ろから見て,左側を左舷,右側を右舷と呼びます。
船体のおおまかな構造(骨組み)
- キール(りゅう骨)
- 船の背骨に当たる。船の最下部中央にあり,船首から船尾まで通る主要材
- 船の縦の強度を保つ。
- 船の背骨に当たる。船の最下部中央にあり,船首から船尾まで通る主要材
- フレーム(ろっ骨)
- 船の横腹から船底を支え,キールに取り付けられる主要材。(人間のろっ骨部分にあたる。)
- 船の横の強度を保つ。フレームの外側に外板を取り付ける。
- 船の横腹から船底を支え,キールに取り付けられる主要材。(人間のろっ骨部分にあたる。)
- ビーム(りょう)
- 左右のフレームの上両端をつないで,フレームと共に船の横強度を保つ主要材。
- ビームの上に甲板をはる。
- 左右のフレームの上両端をつないで,フレームと共に船の横強度を保つ主要材。
- ビルジキール
- 船底から横腹にかけての外板のわん曲部分に取り付けた横揺れ防止材
- ブルワーク(舷しょう)
- 横腹と甲板が接する部分に取り付けられた波よけの側壁(甲板への波の打ち込みを防ぐ)
- ステム(船首材)
- 船首部分を構成する主要材。キールに取り付けられる。
- 波が船首にあたる衝撃に耐えられるよう強固になっている。
- 船首部分を構成する主要材。キールに取り付けられる。
小型モーターボートの各部の名称
- デッキ
- 船首上甲板部分
- トランサム
- 船尾部の外板部分
- ハル
- 左右の舷側外板部分
- ガンネル
- 甲板と舷側外板との接合部分(甲板の一番両端部分)
V型船の船底各部の名称
- ストライプ
- 波さばきをよくする目的でV型船の船底につけられた線上の突起
- チャイン
- V型船の船側外板と船底外板の接合部。波切りをよくして船体にかかる水の抵抗を減らす役割がある。
- V型船の船側外板と船底外板の接合部。波切りをよくして船体にかかる水の抵抗を減らす役割がある。
船舶の設備と装置・属具
- 操舵装置・・・進路を変えたり保持したりするために舵を操作する装置
- 小型船舶の操舵装置
- チラー式・・・舵を直接手で操作する装置(手持ち)
- ロープ式,ケーブルロッド式・・・操縦席から舵輪(ハンドル)を回し,ロープ,ケーブルを介して舵を操作する装置
- 小型船舶の操舵装置
- 揚錨設備
- いかりを投入したり,巻き上げたりする装置
- 小型船・・・人力が多い
- 大型船・・・油圧や電動など(この機械をウインドラス(揚錨機)といい主に船首に設置されている。)
- いかりを投入したり,巻き上げたりする装置
- 係船設備
- 船を岸壁,桟(さん)橋,係船浮標などに安全,確実,迅速につなぎ止るための設備
- 係留ロープ
- ビット,ボラード,クリート・・・係船ロープをつなぎ止める金具の名称
- 船を岸壁,桟(さん)橋,係船浮標などに安全,確実,迅速につなぎ止るための設備
- フェアリーダ,ムアリングホール・・・係船索を船内に導くための装置
- フェンダ(防げん物)・・・船を係留するとき,岸壁や桟橋にぶつかって,船の損傷を防ぐ物(古タイヤ・クッション性の浮き輪の類似物等)
- キャプスタン(係船機)・・・係留ロープを巻き取る装置
- ボートフック・・・先に金具のつめが付いた長い棒,離着岸のとき用いる。
- 救命設備
- 人名を救助及び救助を求めるための設備
- 救命胴衣(ライフジャケット)・・・定員分,保管場所の明示
- 救命浮環(浮き輪・ライフブイ)・・・船名・船籍港(定係港)を記入,取りやすいところに格納
- 救命いかだ(ライフラフト)・・・緊急時に使用するゴムボート,甲板上に設備
- 信号紅炎・・・救助を求めるとき,有効期間は製造日から3年,手持ちで火炎を発する。
- 自己発煙信号・・・昼間,救命浮環と連結させ使用。オレンジ色の煙
- 自己点火灯・・・夜間,救命浮環と連結させて使用。
- 人名を救助及び救助を求めるための設備
- 排水設備
- 入った水を排水するための設備
- 排水ポンプ
- ビルジポンプ・・・機関室に溜った汚水(ビルジ)を排水する機関室のポンプ
- スカッパ(排水口)・・・甲板上の水を排水するための排水口(荒天時は開放)
- バケツ,あかくみ(あか・・・船底に溜った水のこと)
- 入った水を排水するための設備
いかり(アンカー)
- いかりの把駐力(はちゅうりょく)
- いかりのつめが海底をかく強さのこと。弱ければ流されていく。
- いかりの重さ,海底の底質,いかりロープの長さなどに影響を受ける。
- いかりの種類と名称
- ダンフォース型,マッシュルーム型,ホールディング型・・・小型船に多い
- ネービー型(ストレック型)・・・大型船に多い
- ストック型・・・漁船に多い。昔から使用されている。
- ブルース型,CQR型などもある。
- ストック型の特徴
- 長所
- 把駐力が強い。いかりかきはもっともよい。
- 短所
- 取扱に手間がかかる。
- いかりのつめで船底を傷つけるおそれがある。
- いかりのロープがいかりに絡むことがある。
- 長所
- いかり取扱い上の注意
- 先にいかりを投入し,ロープを順次くりだしていく。
- 使用前後の手入れをしておく。
船体・設備及びロープの保存手入れ
船体の手入れ
- FRP船(強化プラスティック船)
- 使用後は清水で洗い,金属部分にさび止めをしておく。
- ボートカバーをかけ,ほこりや直射日光から船体を守る。
- 陸上保管が望ましい。
- 水上係留する時は,海草やかき類の付着に注意する。
- 陸上保管するときは,水抜きせんを抜き,バッテリーもはずしておく。
- 水抜きせんは,水上に戻すとき,必ず元の穴についていたプラグ(せん)を戻すこと(2個以上ある場合に左右に取りつける際,間違わないようにすること。)
- 軽合金船(アルミ船)
- 腐食を防ぐため,使用後は清水で洗う。
- 海水中に係留するときは,電食(でんしょく)から守るため,亜鉛板を取り付ける。
- 海水中にある違う金属による電気現象で,プラスの電気を帯びた金属がマイナスの電気を帯びた金属に電流がながれ金属が腐食する減少。
- アルミと亜鉛の場合,アルミがマイナスで亜鉛がプラスで,亜鉛が犠牲となりアルミの船体を守る。
- 木造船
- 虫食い,貝類の付着を防ぎ,水の抵抗を少なくするため,塗装をする。
- 船内の換気をよくする。
- 鈴が溜ったらこまめにかい出す。
- 海上に常時係留する場合の注意
- どんな材質の船でも,藻やかき,貝類の付着に注意する。
- 流れのない場所,水のきれいなところ(光合成が活発になる。),夏期,水面付近が付着しやすい。
- どんな材質の船でも,藻やかき,貝類の付着に注意する。
- バウアイ(けん引金具)
- 小型船舶の船首部分の水線部付近に取り付けられた金具で,マリーナや船を上下架するとき,トレーラーへの固定などに使用する。
- 横方向の力に弱いので,係留には使用しない。
- 小型船舶の船首部分の水線部付近に取り付けられた金具で,マリーナや船を上下架するとき,トレーラーへの固定などに使用する。
かじ(舵)
- 小型船の操舵装置
- 手入れ
- ロープ式,ケーブルロッド式などは,ゆるみ,磨耗,金具,注油などを点検する。
- 手入れ
ロープ
- マニラロープ
- 麻で作られたロープで,古くから使われている。
- 長所・・・やわらかく,使いやすい
- 短所・・・腐食しやすく,濡れると縮む。
- 麻で作られたロープで,古くから使われている。
- 合繊繊維ロープ
- ナイロン,クレモナロープなど。現在,利用が多い。
- 長所・・・摩擦に強く,腐食しにくい。
- 短所・・・滑りやすく,伸び縮みが大きい。
- ナイロン,クレモナロープなど。現在,利用が多い。
- ロープの太さは直径であらわし,端はほつれないように,ビニールテープで止めるか,火であぶって端止めをしておく。
ロープワーク
- ロープワークは実技試験の科目にもありますので,必ずマスターしておきましょう。
- YouTubeで公開されているロープワークの動画を共有させていただきましたので,参考にしてください。
- ここでは,結索の種類・使用方法についてだけ,書きます。
- もやい結び(ボーラインノット)
- 船を桟橋などにつなぐとき用いられる。
- 巻き結び
- 柱や手すりなどにつなぐとき用いられる。
- 錨結び
- ロープにいかりを結びつけるとき用いられる。
- ひとえつなぎ
- 2本のろーぷをつなぐとき用いられる。
- ふたえつなぎ
- ひとえつなぎより確実な方法で,太さの違うロープをつなぐときに用いられる。
- 本結び
- 日常生活でよく用いられるが,結ぶとときにくい。
- クリート結び
- 船のクリートに止めるときに用いられる。
- 八の字結び
- ロープの途中にコブ(結び目)を作るときに用いられる。
- ロープの途中にコブ(結び目)を作るときに用いられる。
- もやい結び(ボーラインノット)