特定海域での交通の方法
特定海域での交通の方法
- 一般海域及び港則法と混同しがちになるので,よく整理しておきましょう。
海上交通安全法
- 「港則法及び海上交通安全法の一部を改正する法律」(平成22年7月1日施行)
- 目的
この法律は,交通がふくそうする海域において,特別の交通方法を定めた特別法で,海上衝突予防法と規定が異なる場合はこの法律が優先します。
- この法律の適用海域(三箇所のみ)
- 東京湾
- 伊勢湾
- 瀬戸内海
- それぞれの海域にある航路名(11航路)
- 東京湾
- 浦賀水道航路
- 中ノ瀬航路
- 伊勢湾
- 伊良湖水道航路
- 瀬戸内海
- 明石海峡航路
- 宇高東航路・宇高西航路
- 備讃瀬戸東航路・備讃瀬戸北航路・備讃瀬戸南航路
- 水島航路
- 来島海峡航路
- 東京湾
- 用語の意味
- 巨大船
- 全長200m以上の船舶
- 漁ろう船
- 漁ろうに従事している船舶
- 許可を受けて工事又は作業を行っている船舶
- 巨大船
交通の方法
- 航路航行中の船舶との優先関係
- 原則:航路航行中優先
- 航路への出入りや横断しようとしている船舶は,航路航行中の船舶の進路を避けなければならない。
- 例外
- 航路へ出入りや横断しようとしている船舶が漁ろう船の場合は,漁ろう船が保持船となる。
- 漁ろう船といえども,航路航行中の船舶が巨大船の場合は,巨大船が保持船となる。
- 巨大船は航路内航行中の場合に,一番優先されるのであって,航路への出入りや横断しようとしている場合は優先されない。
- 帆船は特に優先される規定はない。
- 原則:航路航行中優先
- 航路航行義務船
- 全長50m以上の船舶は,航路のある海域を航行するときは,必ず航路内を航行しなければならない。
- 速力の制限
- 指定された区間内では速力12ノット以下に制限されている。
- 追越し信号
- 追越し禁止の規定はない。
- 右側追越し
- 長音1回,短音1回
- 左側追越し
- 長音1回,短音2回
- ※ 狭い水道での追越し信号と間違わないこと(長音が1回少ない)
- ※ 同意信号は不要(狭い水道では,同意信号が必要)
- 航路を横断する方法
- 航路に直角に近い角度ですみやかに横断しなければならない。
- 航路と交差する航路を横断する場合は適用しない。
- 一部の航路の一部区間には,出入り禁止及び横断禁止のところもある。
- 航路に直角に近い角度ですみやかに横断しなければならない。
- 船舶は航路内では,やむ得ない場合以外は,びょう(錨)泊してはならない。
特別な灯火と形象物
- 巨大船(200m以上)の灯火と形象物
- 灯火
- 通常の灯火のほかにみやすい所に緑の閃光灯(毎分180から200回)1個
- 形象物
- 黒色円筒形2個
- 灯火
- 巨大船の進路警戒船の灯火と形象物
- 灯火
- 緑の閃光灯(毎分120回以上140回以下)1個
- 形象物
- 紅白の吹き流し 1個
- 灯火
- 危険物積載船の灯火と形象物
- 灯火
- みやすい所に紅色の閃光灯(毎分120回以上140回以下)1個
- 形象物
- みやすい所に交際信号旗の第1代表旗を上にB旗を下にして掲げる。
- 灯火
- 緊急用務船の灯火と形象物
- 灯火
- みやすい所に紅色の閃光灯(毎分180回~200回以下)1個
- 形象物
- みやすい所に紅色の円すい形形象物1個を頂点を上にして掲げる。
- 灯火
- 工事・作業を行っている船舶の灯火と形象物
- 灯火
- マスト灯の下方に緑の全周灯を2個上下につける。
- 形象物
- みやすい所に上から白色のひし形,紅球,紅球の順に3個掲げる。
- 灯火
- 帆船・ろかい船
- 航路又は海上交通安全法適用海域では,航海中のろかい船や長さ7m未満の帆船は,海上衝突予防法規定の燈火を掲げるか,白色の携帯電燈又は点火した白燈を常に表示しなければならない。
- 海難発生時の処置
- 海上交通安全法の適用海域で海難を起こした船舶の船長は,適切な処置をとる共に海上保安部長に通報しなければならない。
湖川及び特定水域での交通の方法
都道府県条例等
- 水上安全条例など
- 海上衝突予防法や港則法が適用されない水域での交通ルールについて規定している。
- 水域利用者の遵守事項や船舶の交通ルールについて規定している。
- 水上オートバイ操縦者に対して,指定した公衆の受講を義務付けている条例がある。
- 水上安全指導員は,水上交通の安全や事故防止等について指導や啓発活動を行っている。
- 特定の漁業者や海水浴者の安全を確保することを目的とした条例により,モーターボート等の航行を規制している水域がある。
- 環境保全を目的とした条例により,モーターボート等の航行を規制している水域がある。
- 迷惑防止条例により,モーターボートの危険行為を禁止している水域もある。
- 違反者の取り締まりは各都道府県警察が行っている。
- 懲役や罰金などの罰則規定がある
- 東京都水上取締条例
- 山梨県富士五湖水上安全条例
- 滋賀県琵琶湖等水上安全条例
- 滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例
- 荒川における船舶の通航方法
河川通航標識(一部)
- 河川ですので道路標識のように多くないので,教本や問題集の付録を参照して覚えてください。
- 覚えずらいものはないと思います。