港内での交通の方法
港内での交通の方法
- 「港則法及び海上交通安全法の一部を改正する法律」(平成22年7月1日施行)
港則法
目的
- 港内の船舶交通と港内の整とんを図るための特別法である。従って港内では海上衝突予防法と異なる場合は,港則法が優先する。
用語の意義
- 雑種船
- 主に港内を航行する交通艇や,モーターボート,はしけ,ろかい船など
- 特定港
- 喫水の深い船舶や外国船が常時出入りする港で法に定められている港
航路及び航法
- 航路航行義務
- 雑種船以外の船舶は,特定港に出入し,又は特定港を通過するには,航路を航行しなければならない(雑種船は航行義務はない。)。
- 航路内の航法(一般的な航法)
- 航路航行中優先
- 航路外から航路に入り,又は航路から航路外に出ようとする船舶は,航路を航行する他の船舶の進路を避けなければならない。
- 並列航行の禁止
- 船舶は,航路内においては,並列して航行してはならない。
- 右側通航
- 航路内において,他の船舶と行き会うときは右側を通行しなければならない。
- 追い越し禁止
- 航路内では他の船舶を追い越してはならない。
- 投びょう
- 航路内において,やむを得ない場合のほか,投びょう(錨)してはならない。
- えい航している船舶等の切り離しの禁止
- 航路内で,やむを得ない場合のほかは,えい航している船舶や物を切り離してはならない。
- 航路航行中優先
- やむを得ない場合の具体例
- 1 海難を避けようとするとき
- 2 運転の自由を失ったとき
- 3 人命又は急迫した危険のある船舶の救助に従事するとき。
- 4 港長の許可を受けて工事又は作業に従事するとき。
港内における速力の制限
- 港内及び港の境界付近においては,他の船舶に危険を及ぼさないような速力で航行しなければならない(港内徐行)。
港の出入り口付近の航法
- 港の入り口及び入り口付近で他の船舶と出会うおそれのあるときは,入港する汽船は,防波堤の外で出航する汽船の進路を避けなければならない(出航船優先)。
防波堤及び停泊船等の付近での航法
- 右小回り(右は,防波堤等の近く),左大回り(左は防波堤等の遠く)の原則
- 防波堤,埠頭,その他の工作物等を右げんに見ながら航行するときは,できるだけこれに近寄り,左げんに見るときはできるだけ遠ざかって航行する。
帆船の航法
- 港内では,帆船は,帆を閉じ,又は引き船を用いて航行しなければならない。
雑種船の航法
- 港内ではみだりに係船浮標や他の船舶に係留してはならない。
- 他の船舶の交通の妨げとなるおそれのある場所に停泊してはならない。
- 港内においては,雑種船以外の船舶の進路を避けなければならない。
火災警報
- 特定港内で停泊中(航行中は除く),火災が発生した船舶は,汽笛又はサイレンで,長音5回の信号をしなければならない。
- 注意・・・長音と短音を間違えないように。短音5回の場合は航行中の保持船が避航船が衝突を避ける動作を行っているかどうか疑問なときに発する疑問信号である。
- 危険を知らせるために行うもので,救助を求めるためのものではない。
- 警告を行う者が見やすい場所に警報の方法を掲示しておかなければならない。
- 警報は,適当な間隔を置いて,繰り返さなければならない。
港内及び付近での禁止事項
- 港内,又は港の境界外10,000m以内に廃棄物を投棄してはならない。
- 港内においては,油送船(タンカー)の付近で喫煙し,又は火気を取り扱ってはならない。
- 港内又は港の境界付近では強力な燈火をみだりに使用してはならない。
- 船舶は,港内においてはみだりに汽笛又はサイレンを吹き鳴らしてはならない。
- 船舶の交通の妨げとなるおそれのある場所では,みだりに漁ろうをしてはならない(魚群探知機の使用は規制の対象にならない。)。
帆船及びろかい船等の灯火
- 航行中の長さ7m未満の帆船及びろかい船は,白色の携帯電灯または点火した白灯を常時表示しなければならない。
ボート競走などの行事の許可
- 特定港内において,ボート競走その他の行事をしようとするとき者は,あらかじめ港長の許可を受けならなければならい。
国際信号旗の設置
- 船舶交通が著しく混雑する特定港において,航行中の小型船及び雑種船以外の船舶は,国際信号旗の数字旗1を掲げなければならない。